ノルディック班3年 須藤 恭佑
気づくと3年になり、トレチとなっていた。
これは春休みに感じたことであり、現在もトレチという役職を必要以上に重く感じているわけではない。しかし、この役職についたことで、トレーニングにおけるチームの責任を負うことの自覚を持つようになった。
前期を振り返ってみると、まず練習の見直しに目を向けて練習の構造を少し変えたことが、チーム全体の向上に結び付いたのだと思われる。昨年度に見られた練習をする上での改善点として一番初めに挙げられたのが、けが人が多すぎるという点だったため、施策として動的ストレッチを導入すること、本メニュー前のダッシュなどのアップ時間を増加すること、週の強度を月曜から土曜にかけて段階的に高めていくこと、を取り入れた。これらにより、けが人を例年よりも減らすことができ、コンディション面での部員の不安を少しでも解消することに繋げられた。また春休みに決めたことは他にもあるが、夏合宿も含めてずっと一貫したやり方で計画を進められたのは、3月の段階での軸の構築が間違っていなかったからだといえるだろう。
全体の練習をつくり、運営することも大切なことであるが、ノルディック班のトレチということで班ごとでも計画的に練習を重ねた。週に1回班別練習の時間を設け、外部コーチから取り入れたクロスカントリースキーをする上で必要な動き、筋力などを鍛えるトレーニングを活用した。こういった体の使い方を前期のうちから取り入れることで、班員に最も足りていない要素である技術面の改善を進めた。2週間に1回のローラーでも速さを求めるのではなく、力の入れ方や重心移動といった基礎的な乗り方から班全員で見直していった。
トレチとして意識したこととしては、班全員の現状を確認して、課題を克服するために何をやるべきなのかをそれぞれに伝えることだった。特にローラーの練習のときに、マネージャーに映像を撮ってもらい、そこから情報を共有し合うというのはとても効果的なやり方であった。ただ自分の欠点を指摘されるのと映像を見て欠点を確認しながら助言をもらうのでは説得力も異なり、具体的な適切な改善イメージに繋げられるどうかも変わってくる。また、体力面や筋力面よりも繊細な感覚が求められるところでもあるので、一人でなんとなくやってしまわないようにチームでやることの利点であるイメージの共有をしながら練習を積むことができたのは、後期の本格的なローラーのためのいい準備となったといえる。
私個人としては、2年の冬から筋肉の使い方と力の強弱の仕方を改善した。2年のローラーから基本は変えていないが、滑るときに肩に力が入りすぎてしまうことがしばしばあったため、治すために上半身の連動トレーニングを行なった。そのおかげでうまく上半身の力を抜くタイミングを見つけ出すことができ、腹筋をメインで使った動きの幅をさらに広げることができた。この前期で腹筋の使い方を押さえることができたのは、自分にとってかなり大きな収穫になり、ローラーのタイムも春から9月上旬までで急激に伸びた。チーム全体の強化は役職的に求められるところだが、個人競技のため個人の成果を足し算することがチームの成果になると考えられるので、自分自身の成長も同等に重要視していきたいと考えている。
これまではチーム全体、ノルディック班、自分自身の3つの観点から前期を振り返ってみたが、後期の計画を含むこれからの方針を整理していく。チーム全体としては、主に体力面でのこれまで以上に強度を上げたトレーニングを行い、ノルアル関係なく支え合ってメニューをこなしていく。タイムレースも2回設定しており、この機会で体力面においては自分がどのくらい成長したのかを実感できるようにした。
後期からの大きな違いとしては、班別練習が週3に増えたことだ。この理由としては、同じスキー部だとしても競技の性質自体は全く異なるものであり、使う筋肉やトレーニング自体も全く異なるため、残り2か月でそれぞれに特化したメニューの時間を増やすことにした。ローラーにおいても週1の頻度で練習しており、映像分析も引き続き継続している。また昨年までは秋の追い込みを走りのみでやっていたが、今年は走りだけでなくローラーでも追い込むように考えている。具体的には10km走るよりも同じ10kmローラーをすることで、冬のレースを意識することになり、雪上の長距離コースにスムーズに適応することができるのではないかと考えている。この班での一番の課題点は板にうまく乗るための技術力が不足しているという点なので、前期と同じようなトレーニング方法ではなく、ローラーを中心としたクロスカントリースキーを常にイメージするようなトレーニング方法に徐々に変えていくことで、課題の克服に努めながら冬への準備を重ねている。
冬に向けてインカレで男子2部昇格・女子1部昇格のチーム目標を掲げることはもちろん重要なことだが、結局は個人競技なので、そのために何をするか、どうやったらスキーが速くなるかを個人で考えて実践して意味があるものだと思われる。目標ばかりが先行してしまい、そのための行動が欠けていたり、間違っていたりしていては成果には繋がらない。そのためチームとしての結果を出すためには、まずはそれぞれが自分に目を向けて自分の足元を確認して自分のタイムを上げることを第一に考える必要がある。
また私自身はプレイヤーとしてこの考えを念頭に置きながらも、トレチとして班やチーム全体を俯瞰してそれぞれの部員の成長に繋げられるようなサポートを続けていきたい。